村上春樹の読み方
- 2013年4月11日|
- カテゴリー:読書
4月12日に、村上春樹の新刊が出ますね。タイトルは『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
私の周りは「村上春樹のどこがおもしろいのかわからな」という人の方が多いし、私も面白い本教えて?と言われても村上春樹はおすすめしません。
だって話が面白いかと言われると、面白いと言い切れる自信がまったくない!すまん。
しかし、「ノルウェイの森」はもう何百回読んだかわからないくらい読んでボロッボロ。
新刊もそろそろ出るし、村上春樹のどこに魅かれるのか考えてみました。
村上春樹の長編小説は、乱暴に言ってしまうと
コミュ障の男がパスタとか作ってるうちになんやかんやあって、結局だからどうした。
という話が多い。
読後、「ああ、すっきりした」「ああ、感動した」というような具体的な感情を得られる話ではないので、ストーリーを楽しみたい人にはまったく向かないし、そういう人は「だからどうした」という感想になってしまう。
とある作家さんが「海辺のカフカ」で書評書けと言われても書けないわーというようなことをおっしゃってましたが、その気持ちはよくわかるんですよね。ストーリーとしては、ほんと「だからどうした」と言いたい。
しかし、実際ハルキストと言われるような熱心なファンが世界的にいて、本を出せば売れるわけですよ。
村上春樹の小説は、ストーリーそのものではなく、ストーリーの中にある文章の心地よさを味わい尽くすことで、読書の楽しみを得られるのではないかと思って私は読んでいます。
素晴らしい音楽のような文章は、何度も繰り返し読みたくなり、妙な中毒性がある。
独特の比喩や、普通は使わないような会話文は合わない人はとことん合わないだろうけれど、その文章の魅力にはまった人は、なんだかよくわからないけれどとりつかれてしまう。
『ノルウェイの森』の中で、
『僕は気が向くと書棚から「グレート・ギャッツビイ」をとりだし、出鱈目にページを開き、その部分をひとしきり読むことを習慣にしていたが』
という一文があるのですが、村上春樹はそういう風に読むタイプの本だと思います。
繰り返し読むに堪えうる文章がストーリーの中にあって、それにはまった人はとことんはまってしまう。
図書館や人に借りて限られた時間の中で1回読むだけでは、その価値はわからない。
私のおすすめの読み方は、初めに通して読んだ後(ストーリーを楽しむ本ではないと書きましたが、読ませる力があるので最後まで読めると思うの)、2回、3回と気になった箇所を読み返す。そのうちに、「なんだか無性に読み返したくなる」という気持ちになるはずです。
ならなければ、村上春樹とは縁がなかったのでしょう。
すすめてるのかすすめてないのかわからない話になりましたが、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は4月12日発売。
タイトルだけ見ると、またコミュ障男がパスタゆでてんじゃないか?と疑いたくなりますが、楽しみです。
単行本になるまでは買いませんけどね!
私はただの『ノルウェイの森』ファンなので、興味をもった人が読んでくれて、私と語り合ってくれたら嬉しいなーと思うのでした。
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